さつまいもは、全国で栽培されています。平成17年度の統計では、全国で105万3000トン生産されています。その生産別では、鹿児島県40%、茨城県17%、千葉県13%、宮崎県7%、徳島県3%、熊本県3%、その他17%となっています。鹿児島県全体では、42万1200トンの生産ですが、県内の市町村別では、西之表市が6位で約2万4000トン、中種子町が7位で約2万3000トンです。
また、さつまいもの用途別でみると、平成16年度の統計では、澱粉用45%、焼酎用37%、加工食品用10%、青果用6%、その他2%です。したがって、種子島全体では、約6万トンくらいの甘藷を生産しているものと推定されます。全国規模で見れば5〜6%くらいでしょうか。
さつまいもの中で特に「種子島むらさき」、「安納芋」は、種子島を代表するものだけではなく、さつまいもの最高位に位置する特質を持っています。さつまいもの歴史や有名な「種子島むらさき」、「安納芋」などの写真を掲載しています。
国道沿いにある日本甘藷栽培初地之碑
西之表市街地から国道58号線を中種子へ向かって車で走ること7分でこの地に着きます。石寺海岸の下西農免道路入口手前の左側に、日本甘藷栽培初地之碑が建立されています。
甘藷の栽培では、青木昆陽が徳川吉宗の命を受け甘藷栽培に成功し、全国的に広まり普及したことで有名ですが、しかし、青木昆陽が成功する以前に、種子島において、いち早く甘藷は栽培されています。その甘藷の栽培に成功した人物は、西之表市下石寺の大瀬休左衛門です。
第19代島主種子島久基(栖林公)は、元禄11年(1698年)琉球王から甘藷を手に入れています。それを家臣に栽培方法の研究を命じ、家臣は下石寺の大瀬休左衛門に試作させ、試行錯誤が続く中、ついに栽培に成功します。そして、薩摩藩に広まり、7年後山川でも栽培に成功するなど、芋神様と言われた青木昆陽は、元禄11年(1698年)に誕生しています。
したがって、日本最初の甘藷栽培は、種子島の西之表市下石寺で行なわれていたのです。記念碑の前には、案内板があり大瀬休左衛門の墓地も分かるようになっています。
墓前には、大きめのからいもを供えている
国道58号線沿いの「日本甘藷栽培初地之碑」から、東へ180メートル行った下石寺公民館の少し手前に、大瀬休左衛門の墓地があります。
墓地の手前には、甘藷栽培について詳しく説明が書かれた案内用のパネルが設置してあります。大瀬休左衛門の墓地は、西之表市制30年を記念して建てられ、墓の中には休左衛門夫妻が祭られています。そして、その年に収穫された大きめのからいもを墓前に供えています。
また、毎年、西之表市では、11月に「さつまいもフェスタ」のイベント事業を行っています。その「さつまいもフェスタ」の前に、大瀬休左衛門の子孫に当たる大瀬家が西之表市長に、その年に収穫されたからいもを献上しています。
したがって、現在でも種子島ではからいもを大切な農産物として扱っているのです。種子島は、鉄砲伝来や種子島宇宙センターで有名ですが、甘藷が日本で最初に栽培された地でもあります。
種子島ゴールドは、種子島を代表するさつまいもの一つです。種子島ゴールドは、別名「種子島むらさき」とも呼ばれています。或いは、紫芋ともいいます。昭和63年、西之表市上能野で収穫した種子島紫から個体選抜したもので、平成11年3月17日に品種登録されています。
肉質は粉質で、ほくほく感があります。糖度も紅さつまと同程度で、食味は中程度です。種子島ゴールドはその名の通り、芋の表面は普通の色ですが、中は鮮やかな薄紫色です。特徴を一言でいうならば、紫芋でたいへん珍しい芋なのです。 種子島ゴールドは、種子島全域で栽培されています。甘みもあり、用途も色々です。焼き芋、お菓子の材料、そして焼酎も作られています。
もちろん、種子島ゴールドで焼酎も造られています。造られた焼酎は、次のような銘柄があります。
「しまむらさき」、「紫(ゆかり)16,25」、「紫金の玉」、「紫育ち」、「むらさき浪漫」
何れも、香りがほんとうに素晴らしく、飲みやすい逸品です。
写真一枚目の種子島ゴールドは、平成17年10月23日、西之表市で行われた「からいもフェスタ」で展示されていたものです。また、写真の2枚目は、種子島ゴールドの苗です。アントシアニンを豊富に含んでいますので、健康食品です。ぜひ、ご賞味ください。
種子島ゴールド(種子島むらさき)
種子島ゴールドの苗
安納紅は学名ですが、通常は「安納芋」と呼ばれています。安納紅は、昭和63年、西之表市安城立山で収穫した安納芋から個体選抜され、平成10年10月29日に品種登録されています。
「安納紅」に表面の皮の色が違うだけで肉質などは全く同じの「安納こがね」があります。安納紅は、西之表で主に栽培されており、安納こがねは、中種子、南種子で主に栽培されています。
安納芋は、最近、急速に名前が知れるようになってきました。テレビや新聞でも取り上げられ全国的に有名になっています。それは、何と言っても甘さが日本一のカライモです。糖度は、16〜17度くらいで、肉質はねっとり感のある芋です。特に焼き芋でたくさん島外に出荷されています。種子島を代表するカライモといってもいいでしょう。
当然、安納芋で焼酎も造られています。
安納いもで作られた焼酎は、次のような銘柄があります。
「しま茜」、「夢尽蔵」、「安納」
何れも、甘い香りにつつまれ、口当たりもほんとうに素晴らしく、焼酎の逸品です。
写真一枚目の安納紅は、平成17年10月23日、西之表市で行われた「からいもフェスタ」で展示されていたものです。そして、写真の2枚目は、安納紅の苗です。苗だけ見ても、専門家でないと種類は全然分かりません。あまりにも有名になってしまった種子島特産品の安納紅です。
安納紅(安納芋)
安納紅(安納芋)の苗
安納こがねも通常は「安納芋」と呼ばれています。安納こがねは、昭和63年、西之表市平田で収穫した安納芋の枝変わりで、平成10年10月29日に品種登録されています。
安納こがねと安納紅は、表面の色が違うだけで肉質、糖度は同じです。安納こがねは、中種子、南種子で主に契約栽培されています。減農薬栽培とか、無農薬栽培とか、そういう方法でつくられています。
もちろん安納芋で焼酎も造られていますが、安納紅と安納こがねを混合しています。安納紅と同じ糖質なので、そのまま焼き芋などで食べるほうが一番美味しく食べられるようです。この安納こがねも種子島を代表するからいもといってもいいでしょう。生果用ですので、地元のスーパーでも売られています。
写真の安納こがねは、平成17年10月23日「からいもフェスタ」で展示されていたものです。安納紅と内部の色を比較してください。まったく同じでしょう。そして、写真の2枚目は、安納こがねの苗です。平成18年11月12日、西之表市で行われた「さつまいも308ふれあいフェスタ」で展示されていたものです。
なお、安納こがねはJA種子屋久で「安納もみじ」という商品名で販売されています。
安納こがね(安納芋)
安納こがね(安納芋)の苗
種子島の特産品である「安納芋」は、テレビ、ラジオでも多く取り上げられ益々ヒート気味になっています。ところで、安納芋のルーツはどうなっているのか? そもそも日本および種子島にさつまいもはなかったのですから。種子島に伝来されたのが、元禄11年(1698年)に琉球王から手に入れています。したがって、安納芋もほかのさつまいもも古来からあったわけではなく、国外のものだったわけです。鹿児島県農業試験場熊毛支場で聞いてみたのですが、詳しいルーツは分かっていません。しかし、安納芋は明治、或いは大正時代に栽培されたのではないかといわれています。そのとき既に改良の手が入っていたといいます。栽培された安納地区の土壌などの条件が上手く合っていたのではないかと考えられています。
ところで、安納芋の苗は、一本5円でJA種子屋久で購入することができます。農協から購入した安納芋の苗は、バイオ技術で育成されたものです。鹿児島県立種子島高等学校生物生産科で、重さ50〜100gくらいの品質のよい安納芋(品評会で好成績を収めた安納芋)の種芋を育成し、新芽の先端部の芽を取り、顕微鏡で成長点組織を取り出し、それを無菌培養して育成します。大量に苗が取れるように元株をポット苗として育成し、育てた苗をJA種子屋久に提供しています。提供された安納芋のポット苗は、JA種子屋久の施設で大量栽培され、農家に販売しています。写真は、無菌苗です。
昔、「にんじん芋」というさつまいもが種子島で多く栽培されていました。正式な名前は、ハヤトイモです。ハヤトイモは、大正時代にアメリカから入ってきたさつまいもです。にんじんにそっくりで、当時としては美味しい芋で、よく煮て食べていました。現在、市場に出回ることはありません。馬場製菓で食品加工用として「ようかん」、「まんじゅう」の原材料として使用されています。たまに、100円市場で売られているとか。
安納芋の無菌苗
にんじん芋(ハヤトイモ)
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