吉助橋〜向井橋

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境界線のある吉助橋付近  今年になって、種子島は雨が少なくて、農作物にかなり影響が出ています。今のところ飲料水に影響は出ていませんが、中種子町では緊急に上水道への対策を実施しており仮設のパイプラインを敷設しています。

 2007年7月1日に行って以来、久しぶりの散策になりました。少し雲はありますが、晴天に恵まれています。散策も気分がよくないと楽しめません。今回は、中種子町と南種子町との境界にある吉助橋から中種子町増田の向井橋までの区間です。県道75号線を上り、新光糖業樺種子工場前から広域農道を増田に向いますが、特に広域農道は、下り坂、上り坂の連続が特徴です。

 吉助橋に来るのは久しぶりです。メヒルギ側を見ると海水が少し溜まっています。周辺は景色がいいので、車から降りて付近を眺めたり写真を撮ったりする人も多いところです。橋を過ぎると、すぐ左に農道があり、その入口に「谷口農道開通記念碑」を昭和六十年七月に建立しています。周辺の両サイドの道沿いには、ミヤコグサ、アザミ、コバノタツナミ、ウマゴヤシなどの草花がたくさん咲いています。やはり、黄色のミヤコグサがひときわ目立ちます。道沿いには水田があり、苗は15センチほどに成長しています。水田周辺の雑木林では、シャリンバイ、トベラなど白い花びらをつけており、新緑の中にくっきりと白が目立っています。そのなかで、マテバシイの若葉も芽を出しています。海岸に近い場所ですが、新緑が綺麗で気分も快くしてくれます。

 新緑が目立つ頃になると、野鳥も活動が活発になるのでしょうか。元気あるヒヨドリの鳴き声が聞こえてきます。しかし、野鳥の中でもホトトギスの鳴き声は、新緑とあいまって風情がいいものです。歩いているのにいつの間にか立ち止まってしまい、その鳴き声に聞きほれてしまいます。やがて、右側にメヒルギの群落が見えてきます。阿嶽川沿いにあるメヒルギで、中種子町の保護植物になっています。その周辺はまた、海岸に近いのですが、スダジイ、トベラ、イヌマキ、マテバシイを中心として雑木林を形成しています。また、「本郡水稲早期栽培発祥之地」の記念碑もあります。記念碑の隣には、「メヒルギ・ハマジンチョウ自生地」の案内板もあります。ちなみにメヒルギの保護は昭和55年8月に指定されています。そして、雑木林には、トベラも自生していることから、その根に寄生する「キイレツチトリモチ」別名「トベラニンギョウ」も保護植物になっており、その案内板や標柱もあります。

 付近は右カーブになっており、やがて海岸が見えてきます。右には中種子町の自然レクレーション村の入口になっています。自然レクレーション村は、海水浴場やキャンプ場になっており、これから夏にかけて利用する人も多くなってきます。阿嶽の洞穴も川沿いにあります。海岸にはハマヒルガオも咲いており夏を演出してくれています。左急カーブを過ぎると中種子町温泉保養センターが左にあり、現在工事中になっています。保養センターの場所は、昔、中種子町国民宿舎があったところです。

 保養センターを過ぎると、新川橋が見えてきます。橋の左袂にハマ祈祷(町祈祷)で使った立て札などがあります。また、橋付近には道路標識があります。ここから中種子までは9キロ、西之表までは35キロです。付近の道沿いには、マツ、アキグミ、マルバニッケイ、センダンなどが生えています。そのなかでセンダンが花をつけ満開を迎えています。近くを通ると自然な香水、快い匂いが周辺に漂っています。種子島温泉ホテルを過ぎると、左側にあるビニールハウスから換気扇の大きな音が聞こえてきます。ハウスに近づいてみると、マンゴーなどを栽培しています。周辺は南界塩屋の中心部です。十字交差点になっており、右は種子島漁協中種子支所、左は坂井国道58号線へ通じています。交差点を少し過ぎると、塩屋のバス停があります。ここは直線道路になっており、見通しもよくカーブ付近は新町です。

 直線道路を更に進むと新町です。県道沿いに熊野神社の鳥居が見えてきます。この鳥居から神社まではかなり距離があります。神社までは紅色の献灯が立ち並らび、寄贈者の名前が書き込まれています。ここからしばらく進んだところで、知り合いの方から、声を掛けられました。「今日は、ないごと?」「今日は、散策しています!」と。直線道路が終るところの右にお店があります。中に入ると、レジのそばでおばちゃんがヨモギの葉を摘んでいます。おばちゃんが作った「よもぎまんじゅう」を買うため寄ったのです。おととしの熊野神社の秋季大祭で、「寺踊り」を見たときに、このお店のおばちゃんから当日、奉納する時間などを聞いていました。昨年は秋季大祭が終った後立ち寄りました。最近では、中種子町の牧の神を紹介するため、熊野の牧の神の場所を尋ねたことがあります。そして、「おばちゃん、久しぶり!」と、声を掛けると、「あー、久しぶり、今日はないごと?」と聞いてきます。「今日は天気もいいから、散歩している」「腹も減ったから、まんじゅうを買(こ)うていかんばや」と言って、話をしていきます。おばちゃんの手は、ヨモギ色に染み込んでいます。「なかなか、おてんろーなー」と言っています。毎日葉を摘んでいるから洗っても落ちないでしょう。「よもぎまんじゅう」には、ふるさとの香りがいっぱい詰まっています。

 お店を過ぎると、南界熊野です。左に簡易郵便局、右に熊野公民館、熊野豊受神社があります。公民館の後方雑木林の中に、「熊野の牧の神」があります。公民館の前は浜川で、河川工事も既に終っています。左にゲートボール場もありますが、今日は誰ひとりいません。少し上り坂になっており、左にハマ祈祷の立て札があります。ハマ祈祷は種子島の各地域で行われている行事です。毎年、1月14・15日が多く、遅くても20日までには終らせています。

 ハマ祈祷の立て札を過ぎると、やや下り坂になっています。周辺は油久校区の今熊野です。道沿いには、シャリンバイ、トベラ、スイカズラなどが生えています。その中でアカメガシワも花を咲かせています。県道75号線を上っていますが、緩やかな右カーブになっており、右にはハウスや畑があり、左は水田です。畑では、サトウキビの管理作業を行っており、夫婦で草取りを行っています。しばらく進むと、国道58号線へ通じる三叉路があります。ここを過ぎると直線道路になっています。水田には、一羽白サギがいますが、ほかには見当たりません。直線道路を過ぎると、左カーブでしばらく上り坂が続きます。

 ここから向町の公民館までは、ず〜っと上り坂になっています。道沿いには、ヤブジラミ、ウマノアシガタ、少しコケリンドウも観察できますが、シロノセンダングサが群生している場所もあります。土手には、アカメガシワが主に生えていますが、もちろんニガダケの竹林もあります。多々良橋の少し手前の道沿いには、既にカワラナデシコが花を咲かせています。濃いピンク色の花で、少し離れてみると茎の色が同じなのでカーネーションによく似ています。珍しい草花が咲いてくれるので楽しみがあります。

 向町公民館を過ぎると、少し下り坂になっており、中種子町立油久小学校が前方に見えてきます。向町公民館の隣に、向町牧の神があります。しばらく進むと交差点があり、左は美座、国道58号線、右は女洲へ通じています。もちろん女洲海岸にも行けます。県道75号線で油久小学校のある地域は、東之町、商店がある地域は西之町です。交差点を過ぎると、油久のバス停があります。小学校前には、ヒマワリの壁画が描かれています。また、左には、油久神社の鳥居が見えていますが、神社はこれより少し離れています。学校の隣には、中種子消防団の油久消防分団が新しく出来上がっています。学校を過ぎると、竹林、畑、人家が左右に点在しています。

 直線道路を過ぎると、緩やかな左カーブになっており、左に町営住宅があります。小学生が自転車に乗り、「こんにちは!」と元気ある声をかけてきます。「こんにちは」と声を返します。油久小学校の生徒でしょうか。子供のあいさつで、何か気分もよく、元気をもらった感じになってくる。しっかりした家庭なんだろうと、自分なりに想像することだが。付近は上り坂になっており、住宅の前にバス停もあります。更に進むと、左の道沿いにまばらにカワラナデシコが花を咲かせています。また、何処からともなく、ケンケンの鳴き声も聞こえてきます。緩やかな右カーブになっており、交差点が連続しています。左は、満足山、国道58号線、次は、左が製糖工場、右が増田に通じる広域農道になっています。今回は、ここで県道75号線とはさよならです。広域農道を散策していくのです。ここは、油久校区の広ヶ野という地域です。読んで字の如く、平らな畑が続く地域です。

 広域農道に入り込むと、右に土地改良の記念碑が目に付きます。もちろん、「種子島の記念碑」で紹介しています。そちらもご覧ください。今年は、サトウキビの生産も4月26日で終っています。昨年に比べ、3日早くなっています。周辺の畑も見通しが大変よくなっており、新芽を出したサトウキビ畑が目立ちます。ちょうど、広域農道に入り込んでまもなく、野間の方から火災を知らせるサイレンが鳴っています。そして、記念碑を通り過ぎると、直線道路になっており、前方は竹屋野地域です。何故か遠くに煙が出ているのが分かります。おそらく火事じゃないかと。竹屋野の交差点を過ぎだんだん近づくにつれて、道沿いに人が集まっています。竹林から煙が立ち上っているのが分かります。散策している中で、火事に出くわしたのは、今回が初めてです。地元の人たちも心配そうに遠くの竹林を眺めています。

 ところで、種子島はサトウキビが主幹作物になっています。収穫すると必ず、茎を包んでいる枯葉を落とさなければいけないのです。この枯葉のことをホロとか、ハカマと呼んでいます。そのハカマを焼くのが一般的に行われているのです。特に冬から春にかけて行うので、風にあおられたりすると、燃えたハカマが延焼したり、竹林に延焼したりするのです。そのとき、種子島の言葉で、「うっとばーた」とか、「やいとばーた」とか言うのです。ハカマが延焼する火事が種子島では多くなっています。今日の火事もまさに、「うっとばーた」火事です。人家じゃなかったのが、せめてもの幸いです。

種子島宇宙センター増田宇宙通信所を展望  竹屋野を過ぎると、上下の坂になっており、上りきると、右は阿曽地域、左は町山崎地域です。ここから北西方向を眺めると、太陽の里運動公園に設置されている巨大な風力発電設備が目に入ってきます。スウェーデン社製で、出力は600kWあり、電力会社の配電線に系統連系されています。阿曽を過ぎると、下り坂になっており、その途中に太陽の里運動公園への入口になっています。付近はS字カーブになっており、再び上りあがると、左カーブになっており、右は上方海岸へ通じています。ここから振り向けば南西方向に風力発電設備が見えます。

下ったり、上ったりを繰り返すうちに、野間中山地域の交差点です。左は、大平、野間、右は中山漁港へ通じています。左の突き当たりに中山公民館があります。中山を過ぎると、終点まで残り少なくなってきます。そのうち右前方に水田が見えてきますが、正面に増田宇宙通信所の巨大なパラボラアンテナが見えてきます。そして、水田が左にもありますが、上り坂を上りきると平らになっており、再び下り坂になってきますが、景色がよくなってきます。増田漁港もはっきり見えてきます。もちろん、増田宇宙通信所のアンテナも見えています。それが2枚目の写真です。

鳥の峯埋葬遺跡の標柱  下り坂を過ぎると、県道75号線との交差点です。付近は、増田の郡原地域です。そのまま進めば中之町、二十番、県道76号線、左は大平、野間へ通じています。交差点を右へ行きます。しばらく進むと沸川に第二下の丸橋が架かっています。付近にはシロノセンダングサが群生しています。先は左カーブになっており、恵比須神社も左にあります。正面は向井海岸です。付近はロケット打ち上げの展望に適しており、多くの見物人が訪れる場所です。陸側の土手沿いには、ヒルザキツキミソウが満開になっており、ピンク色の花で楽しませてくれます。しばらく進むと左土手に、「鳥の峯埋葬遺跡」の標柱が立っています。弥生・古墳時代の埋葬遺跡で、昭和36、41、46年に発掘されており、中種子町の文化財に指定されています。ここを過ぎると、終点向井橋です。久しぶりの散策で、足腰が痛くなってしまいました。

※散策日:平成20年4月29日(火)、晴、9:35〜14:30 

吉助橋〜向井橋の地図塩屋」南界〜吉助橋をスタート←写真1枚目

「塩屋」南界

新町」南界

熊野」南界

向町」油久

西之町」油久

広ヶ野」油久

竹屋野」野間

上方」野間

中山」野間

郡原」増田
↓←写真2枚目
中之町」増田

向井町」増田
↓←写真3枚目
向井橋〜終点