蚕舞かいこまい

蚕の繭に似せた踊りを楽しませてくれる蚕舞

【撮影場所】

鹿児島県熊毛郡南種子町上中上之平

【撮影日時】

2020年1月12日(日)/18時02分〜20時57分

【行事場所】

南種子町上中上之平

【行事時期】

毎年一月十五日前後の日曜日、午後五時三十分より

【アクセス方法】

西之表港から国道58号線経由で約1時間。種子島空港から約35分。

【踊りの説明】

南種子町上中上之平地域に小正月行事として伝承されている「蚕舞｣です。毎年一月十五日に各家を巡回して行われています。蚕舞は、本来、養蚕が盛んだった時代に、蚕の豊作を祝う行事でしたが、現在は、家内安全・繁栄、無病息災などを祝う行事として、種子島では南種子町で伝承されている行事です。

蚕舞は読んで字の如く、蚕に似せた踊りで、青年男子が着物姿で女装して各家庭を回り、扇子を持って優雅な舞いを披露します。白頭巾の顔の中心部は蚕の口に似せてあります。そして、踊り子のほかに太鼓、鉦の鳴り物もいます。

上之平地域の蚕舞は、青年団、子供育成会で三班に別れ実施しています。午後五時までに公民館に集まり、班ごと回る家庭を確認したり、踊り子は女装を行います。そして、六時になると、いよいよ公民館での蚕舞の打ち込みを行います。それが終わると、班毎に分散して民家を巡回します。

写真一枚目は、民家での蚕舞です。ご主人は、正座して静かに蚕舞を見ています。上之平地域の蚕舞は、唄と同時に蚕舞が始まります。途中、団子(だご〜切り餅を枝にさしたもの)を持って踊ります。鳴り物は、玄関先で蚕舞を唄います。太鼓や鉦でリズミカルな調子で、あまり高低差はなく唄います。真冬の静かな夜に鳴り物が響きわたります。大変リズミカルな調子で蚕舞の優雅な踊りを楽しめます。なお、前年に不幸のあった民家には巡回しません。

各家に着くと、まず、玄関を開け、「お祝い申そう」と言って、鳴り物を叩き始め蚕舞が始まります。蚕舞が終わると、祝物をいただきます。焼酎、ご祝儀などです。また、ビールや焼酎、食べ物なども差し出されることもあります。

各家での蚕舞が終わると、すべて終了です。再び公民館に戻り宴会を行います。

	蚕舞の鳴り物です。玄関の庭先で太鼓、鉦を打ち鳴らし蚕舞の唄を全員で唄います。【平成25年1月18日撮影】
	写真は、民家での蚕舞です。途中から、団子を持って踊ります。その団子を踊り子に渡しているところです。【平成25年1月18日撮影】
	写真は、民家での蚕舞です。家の人は、正座して静かに蚕舞を見入っています。踊り終わると、「上手に踊ってくれてありがとう」などと話しかけることもあります。【平成25年1月18日撮影】
	蚕舞の踊りが終わると、玄関先で家主が食べ物や飲み物などを振舞ってくれます。踊り終えた踊り子は、ストローを使って飲んだりします。【平成25年1月18日撮影】
	写真は、民家での蚕舞です。二人で踊ります。各地によって、踊り方も少しずつ違いがあります。【平成25年1月18日撮影】
	こちらは、民家での蚕舞が終わり、焼酎、ビール、豚汁などを振舞ってくれました。豚汁がとても美味しかったです。【平成25年1月18日撮影】
	写真の蚕舞は、ホテルサンパールでの踊りです。外人さんが見守る中での蚕舞でした。【平成25年1月18日撮影】
	踊り終わると、宴会が始まります。焼酎やビールを飲みながら、今年の蚕舞や地域の発展や繁栄などを語り合います。【平成25年1月18日撮影】

　蚕舞

お祝い申そう

これから申す　門から申す
これの御家は　裕福な御家と　見かけ申すが
りゅうの駒かよ
ヤーサ　ラーンラーンラン
やー春駒は　夢に見てさえ　ものゆきものとを　聞こえ申すが
九十九回の　このみやじょうを　廻し廻する先に　あやをはえ
錦を広げて　これから思えば　東の峠の
アーサイライのこかげの　けんけん鳥のめん鳥の
右のおぼり羽根　左の風切り　おっとりあわせて
一羽根がいですくえば　千枚すくう
二羽根がいですくえば　二千枚すくう
三千枚の子種を　寄せ集めて　とくと生ませて
春子になるときゃ　ハイライライと申す
つんむらこになるときゃ　つーんとつーんと申す
虫に起きるときゃ　雨桑も嫌わず　露桑も嫌わず
長雨になるときゃ　はーいの舞をめーすー
白繭　黄か繭　ヤーサラーンラーンラン
やー舞にあわせて　その繭の堅さは
あんま河原の　大石よりも　まだ堅い　このみやじょう
祝いに祝うて
おじゃるどうから かがせ給えよ
おばばじょうさま　娘じょうまで
ちょうのお祝い　おくみあれ

追記〜ご丁寧に対応していただいた上之平公民館の皆様、今回お世話になりました。皆様の益々のご活躍を期待しています。

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