
トシドンは、西之表市鞍勇と野木平地域に伝承されている郷土芸能です。鞍勇地域でのトシドンはしばらく行っていませんでしたが、平成十九年は小さな子供のいる家庭が三戸あり九年ぶりに行われました。
トシドンは、写真でも分かるとおり、天狗に似た長い鼻や角をつけた仮面を被り、ムシロを着て片手に大きな長刀を持った大変怖い神人です。子供のことでそこの親に代わり、しつけや教育のことでお説教をしてくれる方なのです。
平成十九年十二月三十一日大晦日に午後六時半過ぎから、青壮年の方が中心になり行われました。公民館に六時ごろ集まり、準備と打ち合わせを行います。巡回する家庭の子供たちの名前や言うことを聞かない内容などを間違いのないよう確認していきます。トシドンは、気合を入れるためお神酒も一杯口にしてから民家に向います。
トシドンのほかに、脅し用のガンガンを二つ、ほうきを二本、土産などを持つ脇役も七人居ます。民家に近づくと、ガンガンやほうきで壁などを叩き脅しながら玄関を開けて中に入っていきます。中へ入るとトシドンが、大きな声を上げながら子供の名前を呼び、目の前に座らせ、お説教を行います。これにたまらず、泣き出す子供もいます。しかし、小学生の1、2年生になると、なかなか驚いてくれません。
一枚目の写真は、トシドンが現れて子供をお説教している場面です。「歌もうとうてみれ!」「親の言うこと聞け」とか「勉強もせー」とか、親の言えない部分までトシドンが説教してくれます。これにたまらず子供たちも「言うことを聞くから」とトシドンに約束していきます。そしてお説教が終わると、トシドンが土産を子供に与えていき「来年もくいからなー!」と言いながら民家を後にします。
ところで、鞍勇と野木平地域は、明治時代に甑島から移住しています。したがって、トシドンは甑島にも伝承されています。子供の教育に熱心なトシドンなのです。
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写真は、民家に近づきガンガンやほうきで脅しながら玄関を開けトシドンが中へ入っていくところです。なお、民家を離れるときも音を出しながら去っていきます。 |
